流産が私に教えてくれた2つの大切なこと

シンガポール子育て

はじめての妊娠と流産

ちょうど今から1年前に、36歳ではじめて妊娠し、流産した。今の旦那と結婚する前で、子供を作り始じめてできたら結婚しよう、とまるで今どきの国際カップルの約束をした2か月後に妊娠。

それまで避妊のためにピルを飲んでいた私は、計画通りに進む自分の人生にに舞い上がった。

流産なんて頭になかった私は、妊娠が発覚した直後に友人達に言いまわった。まるで私は人生の勝ち組よ、と周りに宣言するかのごとく。

8週目から軽い出血が続き、9週目で稽留流産が確定し手術を受けた。心拍が確認できてからの流産だった。

 流産が教えてくれた大切なこと

1.人の優しさに気づく

私が妊娠した時、私は舞い上がり、だれかれ構わず「報告」した。わざわざ女子会を開いて報告会をしてみたり、自宅でホームパーティを開いてわざとらしく「お酒飲めなくて。」なんて言ったりした。

私は舞い上がり、とても浮かれてた。

もちろんみんな私の報告に喜んでみせ、笑顔をくれたけど。

流産した時、この世の理不尽さに思う存分ふてくされた私に、「今から家に行くから。」と押しかけてきた友人がいた。

メールで知らせた友達はすぐ電話をくれ、「誰とも話したくないと思うけど電話せずにいられなくて。」といった。

グループで仲良くしていた友人たちは、いつもの「飲み会」を開き、いつものように酔っぱらった後、泣いた。

仲良くしていたカップルからは素敵なお花と、「いつでも味方だよ。We are always on your side」と力強いメッセージカードが家に届いた。そのカップルは、実は不妊治療を7年も続けているんだと後で知る。

私は、今までどれほどまでに自分のことしか考えていなかったかを思い知る。そして、今までどんな時も、人に弱みを見せないように生きてきた、自分の心の弱さを知る。自分がつらいときに、優しくされて、これからは自分も大切な人がつらい時に寄り添って、優しくいられる人になろうと心に誓った。

2.この世に悪い人はいない

私はいままで、自分の感性や直感で、人の好き嫌いを決めてきた。「なんか嫌だこの人。」というなんの根拠もない自分の直観を大事にし、付き合う交友関係を選び続けてきた。

旦那の仕事で関わるアンドリア(オーストラリア人50歳くらい)も、私の直観で嫌われた一人。仕事をばりばりこなす年配女性にありがちな、勝気な態度、若いころは相当美人だったであろうからのみなぎる自信。旦那と付き合いだしてから、ちょくちょくカップルで出席しないといけない集まりでこのアンドリアに会うたびに、私は「嫌い。」と思い続けてきた。

旦那もこのアンドリアを好きでなかったため、私のアンドリアへの「嫌い。」という揺るぎない自信は、変わることはなかった。

流産してからだいぶたったある日、いつものように外国特有のカップルで出席しなければいけないディナーの席で、いつもの強気の口調でアンドリアは私に聞いた。

「話したくないなら、迷わずNOと言ってね。あなたの旦那からあなたが妊娠したことは聞いたけど、何かあったの?」

流産直後にこんなはきはきとした口調で尋問されていたら、カチンときていたかもしれないけれど、この時にはすでに流産から8か月以上たっていたので、「実はそのあと流産したの。」と冷静に伝えた。

黙ってしまったアンドリアに気づまりになった私は、「あの時の私たちは何も考えてなくて、妊娠報告が早すぎた私たちが悪いんだー。気使わせてごめんごめん。」とへらへらと笑いながら言った。

アンドリアは、「笑うんじゃないよ!」と私を叱り、私を強く抱きしめた。トライアスロンにまで出場するほどのアスリートのハグは、骨ぼねしくて、力強い。

「妊娠検査薬で陽性を見た瞬間に、女性は母親になっちゃうんだよ。どんなに赤ちゃんが小さくても、まだ見えていないときから、もう母親になっちゃうんだ。」だから自分が悪かったとか言うな、と私を諭したあと、彼女のことを話してくれた。

アンドリアは、3度流産していて、そのうちの1回が安定期に入ってからの流産だった。3回の流産の後、詳しく調べてもらった結果が「不育症。」

注射をここにもあそこにもあんなところにも刺してね、と身振りで腰を指さし、自分のあそこを指さし、頭を指さし笑うアンドリア。長い治療の末にできた女の子は今8歳。なんと最初の子供を授かるまでにかかった期間は14年。

「でね、女の子が産まれてから、もう治療なしで子どもなんてできないと思ってるじゃない、でももう1人男の子ができたの。私たちが相当酔っぱらった時の子供よ。」といって彼女は笑った。

勝気で強気な、アンドリアの壮絶な妊活物語。私の流産の経験が、小さな命を失った経験が、時が過ぎても私に新たなことを教えてくれ、今まで苦手だった人との距離をこんなにも縮めてくれた。

これからは絶対に、人を直観なんかで判断しない、そう心に誓った。

まとめ

流産を経験して、自分の力ではどうにもできないやるせなさと悔しさを味わった。「どうして私が?」という答えの出ない質問を何度も繰り返し、自分を痛めつけた。

その1年後、私は人生2度目の妊娠をし、今日で安定期に入った。

もちろん流産した経験は悲しいけれど、あの経験は私をあの時よりも強く、優しい大人にしてくれたと信じている。

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Cocoaプロフィール
cocoasan

2014年、旅行でたまたま訪れたシンガポールに魅了され、32歳で現地採用の銀行員としてシンガポールに移住しました。現在は、フィットネスジムを経営する夫を手伝いながら、シンガポールで子育てをしています。

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