旦那が、父親として成長した。
やっと、父親になった。
コロナ禍で産まれた娘とは、生後4か月まで会えず、「ほら、これがおまえの子供だ」と少し成長した赤子を突然渡され、いままでの人生とはかけ離れた現実を急につきつけられた旦那。
同時に、はい、おむつ代、ミルク代、病院代に予防注射代ね、ちなみに保育園月に20万円以上だから、と金銭面の責任が突然ふりかかる。
自分が良き家族を知らずに育ちながら、それでも父親を全うしようとはしてたんだろう。
ただ、彼が何をしてもそれはそれは空回りをしてた4年間。
今まではどこかで、子供がいたって自分は子供とかけ離れた存在でいられると思っていたんだろう。
子供の好き嫌いをはじめに考えずに、そんなことすると男がすたる、とでも思ってたはず。
大好きだけど、扱い方がわからないもののために人生を急に変えなければいけない自分との葛藤を続けてきたであろう旦那だったけど。
娘が4歳をすぎたあたりから、変わり始めた。娘が意思疎通のできる人間へと成長し、同じものを食べたり飲んだりすることができ、好きなことを一緒にできることを知り、旦那は急ピッチで父親になった。
朝から一緒にブレックファーストを食べにでかけ、海で貝殻を拾い、自転車に乗り、買い物に行き、アイスクリームを食べたりしている。
先日家族で行ったホテルの、子供が一緒に座れるファミリーエリアと普通のエリアがわかれてた朝食会場。
今までは「ファミリーエリアなんてださいしうるさいだろうから、普通のとこ座ろうよ」なんて、自分も家族がいるのに言っていたはずだが、今回はすかさず「ファミリーエリアで!」とリクエストしていた。
子供がいても、朝食はゆっくり食べたい、なんて言っていたはずの男は、「はやくとりにいこう!」と娘を急かしてビュッフェコーナーに行っていた。
父親になったというよりも、娘の年齢と旦那の精神年齢が同じになったのだ。だから、子供と一緒にすることが楽しくてしょうがなくなったのだ。
とにかく父親ぶり発揮すんのおっせーんだよ、このくず!とも思う。娘が赤ちゃんの時、せかせかと世話をする私の横でどこか他人ごとだった旦那。
でも、ああ、よかった。旦那が、このまま子供と、どうかかわっていいかなんとなくわからずに距離を置き続けるタイプの父親、にならなくて。
女は、子供ができた時から、お腹に豆粒の点が存在した瞬間に、母になる。子供がお腹から産まれた瞬間に寝る間がなくなり、子供を生かしながら関わり続けるから。
男と女が子供に愛情が芽生える時期も、愛情が爆発する時期も違うのかもしれないけど。
これからも、娘にロックオンな父親でいてくれ。父と娘の絆を築いておくれ。
遅ればせながら、僕もやっと父親らしくなってきました、とでも言っておくれ。