「アニーラと遊べなくなっちゃった。どうしよう」昨日、娘が号泣しながら言った。
2年前、引っ越した先がなじめない。新しい保育園に慣れない。住み込みのヘルパーを雇い始めたばかりで、も私と旦那の仲も良くなく、全ての歯車が、かみ合わなくなっていたあの頃。
娘は、架空のベストフレンド「アニーラ」と遊び始めた。
アニーラと、お気に入りのテディベアを囲んでおしゃべりしたり、おままごとをしたり、アニーラの夕飯やお菓子を作ってとお願いされたこともある。
イマジナリーフレンドを幼少期に持つことは、ごく普通の発達過程にあるよう。これは娘の成長過程、と言い聞かせながらも、娘がアニーラと長時間遊ぶときは胸が痛んだ。
広すぎる家の中で。知らないヘルパーが急に住み込み、父親は出張を詰め込み、母親の私は精神が不安定だった日々の中で、アニーラと遊ぶ娘。
あれから2年のときが過ぎ、学校に入学し、引っ越しをし、私と旦那は家族として、親として、強く優しくなった。
引っ越しをして、物理的な変化も良好で、娘は習い事をはじめ、お友達がたくさんでき、自分の軸をもち、毎日が楽しいといいはじめたころ。
動かすことをあきらめかけた歯車が、ゆっくりとまわりはじめたと思っていたころに。
アニーラは消えた。
娘の中から、アニーラが消えたって。
形のない娘の友達アニーラ、いままで娘を支えてくれてありがとう。
娘よ、リアルな人間関係の中で、たくましく成長しておくれ。
グッバイ、アニーラ。
