ひょんなことから、緊急で子供を旦那に預けて、1人で北海道に行くことになった週末。
娘と1晩以上離れるのは初めて。
娘が産まれてから1人で飛行機に乗るのは初めて。
旦那が2泊3日1人で娘と一緒にいるのは初めて。
初めてずくしでどうしましょう。
空港まで娘と旦那が送ってくれて、それまで実感がなくて異様にハイテンションだった娘は、私だけが中に入っていくのを見て、号泣した。
娘は大丈夫かな。。。なんて母親ありきの感情は、空港の中に入って消えた。この、爽快な解放感。
娘といると、娘がすきそうなレストランを探すところからはじまるが、私は1人で真っ先にバーに行った。
白人のおやじたちが1人で来ているような、ファミリーや子供には無縁のようなこのバーで、ハイネケンビールを頼んでぐびぐび飲んだ。
ビールを飲んで、小説をゆっくり読んでいると、娘と旦那からビデオ電話がきて、「もう寝るところだよー、歯はみがいたよー」なんてお話をしてきたけど、正直言ってはやく切りたくなった。
北海道2泊3日、父親と2人だけのニセコと札幌の旅。
娘がいないはじめての1人旅が、父親と2人きり。
42歳娘と、69歳父親。かなり若く見える父親なので、諸所で絶対不倫カップルだと思われてたであろう。
娘が私がいなくても、元気そうにしているのもあるかもしれないけれど、
娘がいない旅は、控えめに言って、最高だった。
もうすぐ5歳になる娘と一緒にどこかへ行ったり、旅行をすることは、娘が赤ちゃんの頃から比べて本当にずいぶんと楽になった。
それでも、子連れで旅をするのと、1人で旅をするのとでは、気持ちの余裕が違う。
好きなときにトイレに行ける。好きなレストランに入って好みの食べ物を頼める。やってみたいこと、行ってみたいことを、自分の意志で決めることができる。
ニセコのホテルは父親が気を使って、2部屋とってくれた。ここ最近夜眠れなくなっていた私が、1人ぼっちの空間の中と涼しい気候の中で、9時間ほどぐっすり眠った。
今から子供のいない人生を選びたいなんて微塵も思わない。娘のいない人生なんて考えられない。
ただ、私は恋しかった。1人の時間が。好きな時間に起きて、好きな時間に寝て。好きな本を読んだり、好きなものを食べたり。4年とちょっと前までは当たり前だったことが。
父親を足に使い、せっかちに買い物をして、居酒屋では父親が驚くほど食べて飲んだ。父親相手に自分を語り、大笑いをし、「グルメおばさん」とあだ名をつけられながら。
それでも、目につくかわいいものは娘のためにと買ったよ。早く会いたいよ。
シンガポールに帰ってくる飛行機の中でも、寝たり映画見たり本読んだりお酒をのんだり、本当に好きなことをしながら。
人間を育てるって、重労働なんだぞ。毎日の過酷さに慣れてはしまうけど。
家に帰ってくると、「ママー」と言って抱きついてきた娘の重みを感じながら、私は母親に戻る。