
シンガポールで、国際結婚で、子供をインターナショナルスクールに通わせている、という事実から、私の適当ブログに、シンガポールへの教育移住を考えているママさんからメッセージをもらうことが時々ある。
日本から子供の教育移住を考えているママさん。
「マレーシアの学校も視野に入れています」という時点で、そのリサーチ力に圧倒され、
「当方も幼少期をシンガポールのインターで過ごし」という時点で、負けを味わう。
二年前の今頃、私もシンガポールで子供をインターナショナルスクールに通わせるという、スタートラインにいた。
北海道の田舎で、公立小学校に通う以外に選択肢がなかった私にとって、教育論なんてものはなく、インター校の教育カリキュラムに種類があることさえ知らなかった。
そんな私は、「インターナショナルスクールしらみつぶし」を決行した。
世界の富裕層が集まるインター校に見学に行った時。
広大な敷地にある素晴らしい施設を見学しながら、案内人が言った。
「私たちは、この世に何をGiveできるのかを、子供たちと一緒に考えています」
「人生で大切なのは、お金ではなく、平和です。一緒に、世界平和のために何を与えられるのか考えていきましょう」
しきりにうなずく見学者たちの中で、私は静かに却下。
しかし、この学校に入学するためには、信じられないほどの大金が必要なのだけれどね、人生で大切なものはお金ではないってさ。
そして、この世界で、自分たちが「与える側」であることを信じて疑わないその思想に、馴染めなかった。
フランス系やドイツ系のインターは、それなりに学費が安く、施設もきれいでよかった。
でも、フランス語やドイツ語を学ばせるつもりはないので却下。
ハリー・ポッターが出てきそうなインター校では、「イギリス英語を徹底します」
と言われたため、却下。
友達100人できるかな、なんて言ってられない。
元気でいてほしい、と思っているだけではダメなんだ。
シンガポールに100校近くもあるインターナショナルスクールの中で、娘に最善を尽くしたい。
でも、何を基準に選べばいいのかがわからない。
「子供のうちに机に座って長時間学ぶことを徹底しなければ、大きくなってから集中できない子供に育ちます」という学校に、それもそうかも。と思いながらも却下し。
「青空教室を推奨し、子供たちはなるべく外で過ごすことを推奨する」という学校に、
「暑そう」と思い、却下した。
数十校見学して、そろそろ焦りと不安から、もう青空教室推奨派でいいかなー、なんて思ってきたころ。
足を踏み入れた途端に、「ここだ。」と思う学校があった。
国籍バランスのとれた、人種の多様性。
教室を完全に壁で区切らない、オープンな学習空間。
教室も、図書館も、体育館も、プールも、カフェテリアも、必要な施設がひとつの校舎の中に収まっていて、学校全体がひとつのコミュニティのように感じた。
子供のコミュニケーション、自立、自分で考えて行動することを大切にしている、と。
そこで初めて、IB(International Baccalaureate/国際バカロレア)という教育カリキュラムがあることを知った。
そういや、学校見学の際に、みんなしきりにIBとかケンブリッジとか言ってたわ。
教育システムのことだったのね。
学費のこともあるし、旦那にも、私が選んだ数校を後から見学してもらうと、私がひとめぼれした学校を見学していた旦那からメッセージが。
「ここにしよう。僕には見える。娘がこの学校に通う姿が」って。
実はさ、私も見えたんだよ。
娘がこの学校のユニフォームを着て、走りまわる姿が。
自分でも気づいていなかったけど、私が憧れていた教育がここにあった。
で、結局、教育論ってなんだっけ。
多様性の中で、自分を確立して。
自分で考えて、自分の言葉で伝えて、自分で選んで生きていく、とか、そんな感じでいい?
IBが何なのかさえ知らなかった私が、この学校で娘が育っていく姿だけは、なぜか見えた。
娘が学校に入ってちょうど一年、あの時に見えた景色は今のところ、間違っていなかった。