COCOA'S BLOG

常夏シンガポールより発信中

多様性を知った娘。

 

 

先日娘とカフェに行くと、若い女性と、そのレズビアンカップルと思われる女性がいた。

 

髪は刈り上げたベリーベリーショート。ぴちっとした男性っぽいスーツを着た、小柄な女性。

 

シンガポールでは、珍しくない光景に、私はただ彼女たちの横を通り過ぎようとした。

娘はカップルのことを不思議そうに見ている。

 

「こっちにおいで。」と娘をうながすも、カップルの横で足をとめ、???の顔をしている娘。

 

カップルが娘に気づき、ほほえんでくれたその時。

 

「Are you a girl, or a boy?」と娘は、スーツを着たその女性に聞いた。素朴な、疑問を投げかけたのだろう。

 

カフェにいたほかの客が、軽く息を飲んだ瞬間。私も、どうしようと思い冷や汗をかいたとき。

 

女性は、笑いながら「Good Question! I am a girl, but I want to be a boy」(いい質問ね。私は女だけど、男になりたいの)といった。

 

そして娘に、おどけた口調で、「Are you a girl, or a boy?」と、娘がした質問を、娘にした。

 

娘は、「I am a girl, but I want to be a Princess!」(私は女の子だけど、プリンセスになりたいの!)と元気よく答えた。

 

そこで、音はしなくとも、カフェ全体の空気が一気になごむのを感じた。そこら中から、「She is so cute」と娘が言われ、カフェの客たちは笑顔で娘を見た。

 

スーツの女性は、「You are already a Princess!」(あなたはもうすでにプリンセスじゃないの!」といい、手をかかげる。

 

その手に、パンっと娘がハイタッチ。

 

リアクションに困り、さっきからずっと、棒立ちで突っ立ってる私に、スーツの女性は「She is soooo cute」と笑った。

 

私はなにをするのが正解?

 

彼女に、娘が変なことを聞いてすみませんというのが正しい?娘に、そんなこと聞いちゃだめよ、というのが正しい?

 

わからない。

 

私は「Thank you」と言い、笑った。

 

カフェの帰り、娘が「ママ、あの人優しかったね、かっこよかったね。」と言った。

 

娘が素直に疑問をなげかけて、それに対してユーモアをもって、優しく接してくれた彼女のおかげで、娘は多様性を知り、そして受け入れた。

 

正解なんてわからないけど、それでいい。

 

娘の見る世界が、また広がった。