1か月の、日本一時帰国が終わった。
日本にいる間、私は娘であり、母だった。ずっと、私の母と、娘と一緒にいて、母であり、それでも娘である心地よさの中で過ごした。
親子のみにゆるされるのであろう、全く気をつかわない、甘ったれた関係性に、どっぷりと浸かっていた。
母に会う前はいつも、もっと優しくしてあげよう、とか、親孝行らしきことをしようと誓うのに。
それが、会ってしまうと、どうしても甘えてしまう。
母もまた、40歳もすぎた娘のことを、子供のように気に掛ける。出かける前には、テッシュとハンカチは持ったのか、と。
さっき目痒そうにしてたから、目薬を買ってきたから、と。
そのたびに、私に、わかったからー、と、うるさいなーと言われながらも。
そして、私はいつも離れてから、後悔する。もっと優しくしてあげればよかったな、とか。なんであんなこと言っちゃったんだろう、とか。
でも、自分が母親になってから、確信できることがある。母親はなんにも気にしてないってこと。
私の娘が、私に対する数々のわがままに対し、私は悲しい気持ちになんて全くならないから。
これからも、娘が成長するうえでの、どんな変化も愛おしいと思うっていくのだろう。たとえ娘が、40歳のおばさんになっても。
この子らしく幸せでいられるようにと、いついつでも願うんだ。
おいしいものをたくさん食べて、楽しいところにたくさん行って、自然に触れた1か月。
別れの日、母と娘の間でゆらゆらと楽だった私は、泣いた。もうちょっとだけ、子供でいたかったから。
皮をむくのがめんどくさい、とかいう私に、笑いながらシャインマスカットの皮をむいてだしてくれた、母親に、もうちょっと甘えていたかったけど。
でも私は、母親だから。
娘がべったり甘えれる母親であれるように。いつでも頼られる母親であれるように。娘が何歳になっても、羽を休めに帰ってこれる場所であれるように。
異国の地で、またがんばろう、と。
日本一時帰国が終わった。