娘のパスポート更新で、7年ぶりくらいに日本大使館へ出向いた。
7年ぶりの日本大使館は、立地こそ高級住宅街にあるけれど、どこか古びて昭和の香りが漂い、地元の市役所を思い出させる。
いまだに支払いは現金。「おつりは出ません」ときた。クレジットカードは日本円での決済しかできず、しかも事前にオンラインでカードの登録が必要だとか。
なんだか、この時代からはるか遠く、時空を超えたような気分になる。
働く人も、来る人も無駄がない。
「現金はおつりが出ないように用意してきなさい」と言われれば、国民性として私たちはきっちり用意する。
普段はがさつを誇る私も、SGD52をそっとカウンターへ差し出す。
館内は静かで、みんな淡々と、自分に必要な手続きだけを目指している。
一方で、去年は娘のイタリアのパスポート申請で、何度かイタリア大使館にも足を運んだ。
旦那の常備薬が書類提出のときに床に落ち、警備員さんがそれを拾いながら
「バイアグラが落ちたぞ。」
と言い放ち、その場がどっと笑いに包まれたこともあった。
カウンターで手続き中に、担当の人から
「ピザをランチで頼んで、今みんなで食べてるんだけど、この手続き終わったら寄ってきなよ。」
と声をかけられ、私と旦那も飛び入りでピザランチにジョインしたり。
一見楽しそうに見えても、娘のパスポートを取るのに、みんなが適当すぎて4年もかかったんだけどね!
普段はがさつを誇る私も、気質はやっぱり繊細な日本人で。
普段は細かい旦那も、ラテンの血が流れている。
だから、わかり合うのはあきらめた。
その代わり、手をつなごう。
繊細だけど陽気で、恥ずかしがり屋なのに大胆な、娘のために。
シーツの上に寝かせて、
「こっち向いてーーー!」
と呼びかけながら必死で撮った、生後2週間のパスポート写真。

あれから5年が過ぎて、たった5歳でパスポートを更新するなんて、なんて生意気なんだろう。
次の更新は10歳。きっとあっという間に来るんだろうな。
笑っちゃうくらいに、あっという間に。