シンガポールに帰る帰れない、ホテル隔離だ自宅待機だ、今行くかもうちょい待つか、をどれほど繰り返しただろう。
待ちに待って、やっと自宅隔離で帰れることになってから、約10日後、出国前のPCR検査が義務付けられ、そのたった数日後、ホテル隔離が義務付けられた。ゴール目前で、ふりだしにもどる。
シンガポールへ赤ちゃんを連れて1人で入国し、ホテルで2週間隔離されることの不安をもって一人で悶々としていた頃、自分がこの世で一番大変な運命を背負った人物なのだと勘違いしていた。誰も経験したことのない未知の世界に、私だけが挑むのだ、という大いなる勘違いを。
今回、自宅隔離からホテル隔離に逆戻りしてしまったけど、前ほどの不安はない。
シンガポールに入国することにたいする、不安や不満をつづっただけの私のTwitterやブログを介して、同じ状況の人たちとつながることができた。
「私も同じ状況です。」と言ってくれることがどんなに嬉しいか、「つい先日ホテル隔離で入国しましたよ。がんばってください。」と言ってくれることがどんなに心強いことか。そして当たり前だが、私のような状況下に置かれた人はたくさんいるんだ、ということを知った。
同じ状況にある人をTwitterで見つけても、自らコンタクトをとり、情報を得ようともせず、悲劇のヒロイン面してた自分。
シンガポールに日本から入国する規制は、よくなるどころかどんどん悪化しているけれど、同じような立場の人がいて、同じ気持ちでいる人とつながることが、こんなにも気持ちを軽くしてくれるんだ、ということを学んだ。
Twitterで情報交換をするようになった、近々シンガポールに入国する女性から、シンガポールの「自宅隔離がホテル隔離になった」という規制変更をいち早く教えてもらい、嘆いていると、
「Cocoaさんも一緒にやり過ごしましょ♡頑張ると辛いし、耐えるってなんか嫌だし嬉し泣きみんなであーだこーだ言いながら終わらせちゃいましょうー!」とメッセージをくれた。
顔も名前も知らない人の言葉で、泣けるほど嬉しいということがあることを学ぶ。
状況は何一つ変わっていなくても、気の持ちようひとつで、置かれた状況を嘆くことも、楽しむこともできる。
何か月か前、悲劇のヒロインだった自分は、これから起こるミステリーツアーを楽しみにさえしている。