シンガポールに帰ってくることを決めてから、本当に長かった日々がやっと終わる。チェックアウトは正午。前日は緊張で眠れなくて、やばかった。旦那も同じだったらしく、朝7時くらいから、「なんかあったら困るからそろそろホテルに行って待機してようかな」、と言っていた。
旦那が父になる前の話は↓
正午ちょうどに部屋を出て、チェックアウトの列に並んでいると、ホテルの前では迎えの人が大勢待っていて、「ああ、ドラマだな」と思った。こんなご時世に、今国をまたがなければいけない理由があって入国してきた人たちみんな、それぞれのドラマ。
そして、私たち家族もその中の1編、ヒューマンドラマが始まる。。父と娘の感動なる初対面が、、となる予定が、旦那が私たちに手をふり、近寄ってくる段階から、娘は目を見開き、怯え、そして、叫び泣く。
ホテルスタッフも、他の隔離者を待っている家族たちも、一体何事か、という感じで私たちを凝視する。
4か月くらいから人見知りは徐々にはじまってきていて、外に連れて行って知らない人に抱っこされると泣いたり、旦那とビデオ電話で話したりしても泣いたりはしてたけど、まさかここまでとは。。
14日間の隔離生活の間に、娘の人見知りはひどくなっていた。
娘が旦那に人見知りをする話は↓
こんなにも娘と会うことを待ち望んで、会いたくて会いたくて仕方なくて、やっと現実になったのに、抱きしめるその前に、怯えられるなんて。心では大笑いして、泣かれて躊躇する旦那に泣く娘を無理やり抱かせて、ビデオを撮りながら実際には少し笑った。
外に出ることや、楽しい雰囲気の中にいることが小さいながらに大好きな4か月半の娘も、14日間同じ空間に、同じ人としかいなかったなら、こんな風になってしまうんだな、と感心するほどに、見るもの全てに怯えていた。
その日はずっとぐずり、私が一瞬でも娘を置こうとしたものなら、ひきつけをおこすのではないかと思う程に泣き、私はトイレさえも行けず、旦那は隣でなすすべもなく、途方にくれて立ち尽くしていた。
娘に会ったらたくさんキスしたい、とか、ずっと抱っこしてその日は一緒に寝る、とか言っていた旦那は、その娘に近寄ることもできない。
それでもできることをしようと、私がおむつを替えようとすると、目の鼻の先にあるおむつを取って渡してくれ、ミルクの作り方を覚え、私が娘をお風呂に入れてる後ろから、「手すべらせないでね、気をつけてね。」と気遣う。
そうして、娘が泣き疲れてやっと夜中に寝たとき、その横にそっと寝転がって、ほっぺにキスをした。
今日一日疲れたね。私も、旦那も、娘も。
明日から、ゆっくりと家族になっていこう。みんなで一緒に築いていこう。