最近レストランのオーナーさんや、個人ビジネスをしている方たちから、私のブログで紹介してほしい、というオファーをいただくようになった。
私も有名ブロガーになってきたからな、というわけではない。
調子のいいイタリア人旦那が、「妻はシンガポールで、とても有名な日本人ブロガーなんだ。」と言いふらしているようなのだ。
勝手に私の連絡先をばらまき、急にレストランのオーナーさんから電話がきたりするので、とても困惑しつつ、一体私のことを、外でどんな風に言ってるんだよ、と旦那を疑っているさなか、とうとうこの目でみることができた。
先日、お気に入りのアイスクリームショップで、気さくなマレーシア人店員と旦那はおしゃべりを始めた。
どんな会話の流れかからは把握してないけど、気さくな店員が「日本人客もターゲットにしているよ。」ということを言った途端、旦那の目が光り、「ここに、君のビジネスを変える、すごい人がいるってことを知っているか。」ともったいぶって切り出したので、気さくな店員は混乱した顔をし、私はギョッとした。
そして、私に何か言え、と言う風に目くばせしてきたけど、黙っていると、「ここにいる僕のワイフ、シンガポール在住日本人に有名な、ブロガーなんだよ。」と紹介した。
気さくな店員はまず、「え?この人日本人なの?」という顔で私を見て、その後正直に「日本人には見えないね。中国人かと思いました。」と告白した。
旦那は、気さくな店員の、失礼な言葉にさえも「そう、うちのワイフは中国人にしか見えないけど、日本人なのだ。そして、有名ブロガーなのだ。」と、得意げに言った。
隣の席で楽しそうに談話してた日本妻グループも、「え、なにこの人有名ブロガーなの。だれだれ?」って顔で私を見てくる。
恥ずかしくて、消え入りたくなっている私なんてお構いなしで、旦那は私のことを「シンガポール在住日本人が書くブログで常に1位だ。」とか、
「日本人に、ココアのブログを知ってるかい、と聞けばみんな知っている。」とか、
「シンガポール在住日本人は、知りたいことがあると、Googleで調べるよりもまず、ココアのブログを見にくる。」とか、
「シンガポールに来る前に、すべての日本人はココアの助言を仰ぐ」とか止まらない。
確かに、ブログ村のランキングで3位になった時は旦那に自慢したし、シンガポールのホテル隔離の記事を書いた後はアクセス数は伸びて旦那に自慢したし、質問やメッセージで問い合わせなどもきた。
ただ、身内に「私のブログ結構有名になってきたわー。有名ブロガーココアです。」という冗談半分の自慢話と、外で「私は有名ブロガーなんです。」というのとでは意味合いが全く変わる。
日本語が読めない旦那は、私のブログが、役に立つシンガポール情報だけではなく、自分の体重さえも暴露されてる「なんでもブログ」だということを、もちろん知らない。
旦那の大げさ発言に、だんだんと私の見る目が変わっていく気さくな店員。「この、日本人にさえ見えないお方は、実はすごい人なのかもしれない。」という顔にかわっている。
最後に旦那は「僕のワイフは今日この店についてブログを書く。その後、ココアのブログを見た、と言ってこの店に来る日本人が殺到すると思うから、今後僕たちの会計を常に10%オフにしてくれないか。」とちゃっかり自分の得になる提案をしたので、私は慌てて止めた。
そんなことしたら、私が有名ブロガーでないのが、この気さくな店員にばれてしまうではないか。
そして、実はもうすでにこの店のことはブログに書いているのだ。それを店員に伝えたところ、私を尊敬したまなざしで見つめながら、「ああ、だから最近日本人客が増えているんだ。」と神をあがめる顔で、感謝してきた。
日本人客が増えているのは、単にあなたの作るアイスクリームがおいしくて、リピーターがついているだけだと思うが、旦那はすかさず「これからもワイフに協力できることがあれば、なんでも言ってくれ。」と、自分の名刺を渡した。
店を出た時、「なんで大げさなこと言うの!」と怒る私に、なんでもないことのように
「せっかく好きで文章を書いているんだから、自分を売っていくんだ。それはどこかにつながるかもしれないし、つながらないかもしれない。つながらなければそれでいいし、つながればそこからまた道が開ける。」と。
そして、
「自分という商品は、自分で売り込まなければ、誰も買ってくれないということを忘れるな。」と。
その言葉に、私は何も返せない。
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だからそうなのだ。
世の中言ったもの勝ちなのだ。
全然おもしろくないのになぜか売れてるお笑い芸人や、ブログやユーチューブで大金稼いでる一般人だって、たいしたことない自分をまず、他人に売り込み、評価を勝ち得ていくのではないか。
ただの気持ちを綴るだけのこのブログだって、それなりに続いていて、少なからず「ためになりました。とかおもしろいです。」と言ってくれる人がいることは、自分の中での自信となっているから。もうちょっと、他人に売り込んでもいいのかもしれない。
だからと言って、「シンガポール在住日本人は、知りたいことがあると、Googleで調べるよりもまず、私のブログを見にくるんですよ。」なんていうことは、どんなに自分を売り込もうとしたところで、口が裂けても言えない。
ちなみに、ここが噂のアイスクリーム屋。↓